士師記7-8 ; ルカ5:1-16

士師記

第7章

7:1さてエルバアルと呼ばれるギデオンおよび彼と共にいたすべての民は朝早く起き、ハロデの泉のほとりに陣を取った。ミデアンびとの陣は彼らの北の方にあり、モレの丘に沿って谷の中にあった。
7:2主はギデオンに言われた、「あなたと共におる民はあまりに多い。ゆえにわたしは彼らの手にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに向かってみずから誇り、『わたしは自身の手で自分を救ったのだ』と言うであろう。7:3それゆえ、民の耳に触れ示して、『だれでも恐れおののく者は帰れ』と言いなさい」。こうしてギデオンは彼らを試みたので、民のうち帰った者は二万二千人あり、残った者は一万人であった。
7:4主はまたギデオンに言われた、「民はまだ多い。彼らを導いて水ぎわに下りなさい。わたしはそこで、あなたのために彼らを試みよう。わたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行くべきだ』と言う者は、あなたと共に行くべきである。またわたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行ってはならない』と言う者は、だれも行ってはならない」。7:5そこでギデオンが民を導いて水ぎわに下ると、主は彼に言われた、「すべて犬のなめるように舌をもって水をなめる者はそれを別にしておきなさい。またすべてひざを折り、かがんで水を飲む者もそうしなさい」。7:6そして手を口にあてて水をなめた者の数は三百人であった。残りの民はみなひざを折り、かがんで水を飲んだ。7:7主はギデオンに言われた、「わたしは水をなめた三百人の者をもって、あなたがたを救い、ミデアンびとをあなたの手にわたそう。残りの民はおのおのその家に帰らせなさい」。7:8そこで彼はかの三百人を留めおき、残りのイスラエルびとの手から、つぼとラッパを取り、民をおのおのその天幕に帰らせた。時にミデアンびとの陣は下の谷の中にあった。
7:9その夜、主はギデオンに言われた、「立てよ、下っていって敵陣に攻め入れ。わたしはそれをあなたの手にわたす。7:10もしあなたが下って行くことを恐れるならば、あなたのしもべプラと共に敵陣に下っていって、7:11彼らの言うところを聞け。そうすればあなたの手が強くなって、敵陣に攻め下ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと共に下って、敵陣にある兵隊たちの前哨地点に行ってみると、7:12ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての東方の民はいなごのように数多く谷に沿って伏していた。そのらくだは海べの砂のように多くて数えきれなかった。7:13ギデオンがそこへ行ったとき、ある人がその仲間に夢を語っていた。その人は言った、「わたしは夢を見た。大麦のパン一つがミデアンの陣中にころがってきて、天幕に達し、それを打ち倒し、くつがえしたので、天幕は倒れ伏した」。7:14仲間は答えて言った、「それはイスラエルの人、ヨアシの子ギデオンのつるぎにちがいない。神はミデアンとすべての軍勢を彼の手にわたされるのだ」。
7:15ギデオンは夢の物語とその解き明かしとを聞いたので、礼拝し、イスラエルの陣営に帰り、そして言った、「立てよ、主はミデアンの軍勢をあなたがたの手にわたされる」。7:16そして彼は三百人を三組に分け、手に手にラッパと、からつぼとを取らせ、つぼの中にたいまつをともさせ、7:17彼らに言った、「わたしを見て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣のはずれに達したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。7:18わたしと共におる者がみなラッパを吹くと、あなたがたもまたすべての陣営の四方でラッパを吹き、『主のためだ、ギデオンのためだ』と言いなさい」。
7:19こうしてギデオンと、彼と共にいた百人の者が、中更の初めに敵陣のはずれに行ってみると、ちょうど番兵を交代した時であったので、彼らはラッパを吹き、手に携えていたつぼを打ち砕いた。7:20すなわち三組の者がラッパを吹き、つぼを打ち砕き、左の手にはたいまつをとり、右の手にはラッパを持ってそれを吹き、「主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫んだ。7:21そしておのおのその持ち場に立ち、敵陣を取り囲んだので、敵軍はみな走り、大声をあげて逃げ去った。7:22三百人のものがラッパを吹くと、主は敵軍をしてみな互に同志打ちさせられたので、敵軍はゼレラの方、ベテシッタおよびアベルメホラの境、タバテの近くまで逃げ去った。7:23イスラエルの人々はナフタリ、アセルおよび全マナセから集まってきて、ミデアンびとを追撃した。
7:24ギデオンは使者をあまねくエフライムの山地につかわし、「下ってきて、ミデアンびとを攻め、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取れ」と言わせた。そこでエフライムの人々はみな集まってきて、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取った。7:25彼らはまたミデアンびとのふたりの君オレブとゼエブを捕え、オレブをオレブ岩のほとりで殺し、ゼエブをゼエブの酒ぶねのほとりで殺した。またミデアンびとを追撃し、オレブとゼエブの首を携えてヨルダンの向こうのギデオンのもとへ行った。

第8章

8:1エフライムの人々はギデオンに向かい「あなたが、ミデアンびとと戦うために行かれたとき、われわれを呼ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と言って激しく彼を責めた。8:2ギデオンは彼らに言った、「今わたしのした事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか。エフライムの拾い集めた取り残りのぶどうはアビエゼルの収穫したぶどうにもまさるではありませんか。8:3神はミデアンの君オレブとゼエブをあなたがたの手にわたされました。わたしのなし得た事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか」。ギデオンがこの言葉を述べると、彼らの憤りは解けた。
8:4ギデオンは自分に従っていた三百人と共にヨルダンに行ってこれを渡り、疲れながらもなお追撃したが、8:5彼はスコテの人々に言った、「どうぞわたしに従っている民にパンを与えてください。彼らが疲れているのに、わたしはミデアンの王ゼバとザルムンナを追撃しているのですから」。8:6スコテのつかさたちは言った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの手のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの軍勢にパンを与えねばならないのですか」。8:7ギデオンは言った、「それならば主がわたしの手にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは野のいばらと、おどろをもって、あなたがたの肉を打つであろう」。8:8そしてギデオンはそこからペヌエルに上り、同じことをペヌエルの人々に述べると、彼らもスコテの人々が答えたように答えたので、8:9ペヌエルの人々に言った、「わたしが安らかに帰ってきたとき、このやぐらを打ちこわすであろう」。
8:10さてゼバとザルムンナは軍勢おおよそ一万五千人を率いて、カルコルにいた。これは皆、東方の民の全軍のうち生き残ったもので、戦死した者は、つるぎを帯びているものが十二万人あった。8:11ギデオンはノバとヨグベハの東の隊商の道を上って、敵軍の油断しているところを撃った。8:12ゼバとザルムンナは逃げたが、ギデオンは追撃して、ミデアンのふたりの王ゼバとザルムンナを捕え、その軍勢をことごとく撃ち敗った。
8:13こうしてヨアシの子ギデオンはヘレスの坂をとおって戦いから帰り、8:14スコテの若者ひとりを捕えて、尋ねたところ、彼はスコテのつかさたち及び長老たち七十七人の名をギデオンのために書きしるした。8:15ギデオンはスコテの人々のところへ行って言った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの手のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの疲れた人々にパンを与えねばならないのか』と言って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを見なさい」。8:16そして彼は、その町の長老たちを捕え、野のいばらと、おどろとを取り、それをもってスコテの人々を懲らし、8:17またペヌエルのやぐらを打ちこわして町の人々を殺した。
8:18そしてギデオンはゼバとザルムンナに言った、「あなたがたがタボルで殺したのは、どんな人々であったか」。彼らは答えた、「彼らはあなたに似てみな王子のように見えました」。8:19ギデオンは言った、「彼らはわたしの兄弟、わたしの母の子たちだ。主は生きておられる。もしあなたがたが彼らを生かしておいたならば、わたしはあなたがたを殺さないのだが」。8:20そして長子エテルに言った、「立って、彼らを殺しなさい」。しかしその若者はなお年が若かったので、恐れてつるぎを抜かなかった。8:21そこでゼバとザルムンナは言った、「あなた自身が立って、わたしたちを撃ってください。人によってそれぞれ力も違いますから」。ギデオンは立ちあがってゼバとザルムンナを殺し、彼らのらくだの首に掛けてあった月形の飾りを取った。
8:22イスラエルの人々はギデオンに言った、「あなたはミデアンの手からわれわれを救われたのですから、あなたも、あなたの子も孫もわれわれを治めてください」。8:23ギデオンは彼らに言った、「わたしはあなたがたを治めることはいたしません。またわたしの子もあなたがたを治めてはなりません。主があなたがたを治められます」。8:24ギデオンはまた彼らに言った、「わたしはあなたがたに一つの願いがあります。あなたがたのぶんどった耳輪をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、金の耳輪を持っていたからである。8:25彼らは答えた、「わたしどもは喜んでそれをさしあげます」。そして衣をひろげ、めいめいぶんどった耳輪をその中に投げ入れた。8:26こうしてギデオンが求めて得た金の耳輪の重さは一千七百金シケルであった。ほかに月形の飾りと耳飾りと、ミデアンの王たちの着た紫の衣およびらくだの首に掛けた首飾りなどもあった。8:27ギデオンはそれをもって一つのエポデを作り、それを自分の町オフラに置いた。イスラエルは皆それを慕って姦淫をおこなった。それはギデオンとその家にとって、わなとなった。8:28このようにしてミデアンはイスラエルの人々に征服されて、再びその頭をあげることができなかった。そして国はギデオンの世にあるうち、四十年のあいだ太平であった。
8:29ヨアシの子エルバアルは行って自分の家に住んだ。8:30ギデオンは多くの妻をもっていたので、自分の子供だけで七十人あった。8:31シケムにいた彼のめかけがまたひとりの子を産んだので、アビメレクと名づけた。8:32ヨアシの子ギデオンは高齢に達して死に、アビエゼルびとのオフラにある父ヨアシの墓に葬られた。
8:33ギデオンが死ぬと、イスラエルの人々はまたバアルを慕って、これと姦淫を行い、バアル・ベリテを自分たちの神とした。8:34すなわちイスラエルの人々は周囲のもろもろの敵の手から自分たちを救われた彼らの神、主を覚えず、8:35またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの善行に応じて彼の家族に親切をつくすこともしなかった。


ルカ

第5章

5:1さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、5:2そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。5:3その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。5:4話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。5:5シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。5:6そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。5:7そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。5:8これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。5:9彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。5:10シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。5:11そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。
5:12イエスがある町におられた時、全身らい病になっている人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。5:13イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病がただちに去ってしまった。5:14イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。5:15しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。5:16しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。


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